ゲーム鑑定のグレードの読み方 ── 「9.8 A++」は何を意味するのか【PSA・VGA・CGC対応】
最終更新 : 2026年10月4日
eBayやオークションで鑑定済みのレトロゲームを見ると、「9.8 A++」「VGA 90」といった記号がラベルに並んでいます。この数字と記号の意味がわかると、鑑定済み品の価格がなぜ桁違いに分かれるのかが読めるようになります。
この記事では、事実上の世界標準であるPSA(旧WATA)の体系を中心に、グレードの読み方を解説します。
PSA(旧WATA)は「数値」と「シール等級」の二軸
PSAのゲーム鑑定(WATAから継承された体系)では、未開封品は2つの軸で評価されます。
1. 数値グレード(0.5〜10)
箱そのものの状態を表します。見られるのは、角の潰れ、圧痕、日焼け・色あせ、棚ずれ(擦れ)など。0.5(Poor)から10(Gem Mint)までのスケールで、上位帯は9.0 / 9.2 / 9.4 / 9.6 / 9.8 / 10と細かく刻まれます。
2. シール等級(C〜A++)
シュリンク(包装フィルム)そのものの状態と真正性を表します。破れ、穴、緩み、擦れが評価対象で、C → B → A → A+ → A++の順に上がります。工場出荷時の封のまま、かつフィルムがほぼ無傷のものだけがA++に到達します。
つまり「9.8 A++」とは、「箱はほぼ完璧(9.8)、シュリンクも当時のままほぼ無傷(A++)」という意味です。最高評価のPSA 10 A++にはゴールドラベルが与えられます。
なぜ二軸に分かれているのか
箱とシュリンクは劣化の仕方が違うからです。箱が綺麗でもフィルムに破れがあれば「開封されかけた可能性」が残り、逆にフィルムが完璧でも箱が潰れていれば展示価値が下がります。
そして未開封品の価値の核心はシールの真正性にあります。レトロゲーム市場には、開封品に新しいフィルムをかけて未開封を装う「再シュリンク」が流通しており、シール等級はその防波堤です。数値が同じ9.8でも、A++とAでは価格が大きく変わるのはこのためです。
CIB(開封済み完品)の場合
箱・カートリッジ・説明書など構成要素ごとに評価され、総合グレードが付きます。「箱は9.4だが説明書に折れがあり総合9.0」のような形です。未開封に比べ、構成要素の揃い方(内箱・ハガキ類まであるか)が効いてきます。
グレードと価格 ── 「0.2の差」が数十万円になる
グレードは線形ではなく、崖(グレード・クリフ)のように価格に効きます。実売例を見てください。
| スーパーマリオブラザーズ(ファミコン・未開封) | 価格 |
|---|---|
| 未鑑定の平均 | $351 |
| VGA 90 | $12,000(2023年11月) |
| VGA 90+ | $26,400(2024年3月) |
VGAの90と90+は紙一重の差ですが、価格は2倍以上。PSAの体系でも9.6と9.8の間で数千ドル変わる例が知られています。理由は単純で、最上位グレードの個体数が極端に少ないからです。トップグレードは「ほぼ存在しないもの」への入札競争になります。
逆に、中位グレード(たとえば7点台)の普及タイトルは、鑑定費用を回収できないことも珍しくありません。鑑定に出す前に「この個体はトップグレードを狙えるか」を見極めることが重要です。
VGA・CGCのグレードとの対応
PSA以外の鑑定会社はスケールが異なります。
VGA(100点制・3つのレベル)
| レベル | グレード |
|---|---|
| Gold | 85+ / 90 / 90+ / 95 / 95+ / 100 |
| Silver | 75 / 75+ / 80 / 80+ / 85 |
| Bronze | 70以下 |
CGC Video Games(10点制)
コミック鑑定由来の0.5〜10スケールを使います。
会社間の「換算表」が出回ることがありますが、評価基準も検品プロセスも異なるため厳密な換算は不可能です。海外コレクターの間では「VGA 85前後がPSA 9相当、VGA 80前後がPSA 8相当」といった目安が語られることもありますが、あくまで通説で、公式な対応関係ではありません。売買の際は「どの会社の何点か」をセットで見るのが原則で、市場での評価(同グレードでの実売価格)は現状PSA(旧WATA)が最も高く付く傾向があります。
日本版ゲーム特有の論点
2026年5月にPSAが日本版(ファミコン・ゲームボーイ・GBA)対応を開始しましたが、日本版は北米版とパッケージ仕様も封緘の様式も異なり、日本版のグレード評価事例はまだ蓄積が浅いのが実情です。メーカーや年代によって出荷時の包装仕様が違うため、「どの状態がA++相当なのか」の相場観はこれから形成されていきます。当サイトでは日本版の鑑定事例を継続的に収集し、記事を更新していきます。
よくある質問
Q. 9.8と10の違いは何ですか A. 10(Gem Mint)は事実上無欠点の個体です。出現率が極めて低く、同タイトルでも9.8との価格差は大きく開きます。
Q. 裸カートリッジにもグレードは付きますか A. 付きます。カートリッジ単体の状態(ラベルの傷み・変色・筐体の擦れ)が数値評価されます。シール等級は未開封品のみです。
Q. グレードが低くても鑑定する意味はありますか A. 真贋保証そのものに意味がある場合(高額な希少タイトルでリプロが横行しているケース)はあります。状態プレミアム目的なら、中位以下のグレード見込みでは費用倒れになりがちです。
まとめ
- PSA(旧WATA)は「数値0.5〜10」×「シール等級C〜A++」の二軸。9.8 A++は「箱ほぼ完璧・封も当時のままほぼ無傷」
- 価格はグレードに対して崖状に効く。トップグレード帯の0.2差が数倍の価格差になる
- VGAは100点制、CGCは10点制。会社間の厳密な換算はできない
- 日本版の評価事例はまだ少なく、相場観はこれから形成される
**** 日本版レトロゲームの鑑定事例・相場データを継続ウォッチしています。国内で鑑定が始まったら最速でお知らせします。→待機リスト登録フォーム